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「学生時代にがんばったこと」は評価できるか?

みなさんこんにちは。5月も中盤に入り新卒採用も佳境となってきました。
今日はその新卒採用面接について考えてみたいと思います。

私は十数年来、不思議に思っていたのですが、エントリーシートや面接には必ずと言ってよいほど「学生時代に一番がんばったことは何ですか?」という質問が登場します。

バブル崩壊以降、就職活動は学生にとって人生最大の競争イベントになりました。企業側が高度成長期のような「数合わせ採用」をしなくなったため、学生は内定を勝ち取るために面接や選考の対策に必死になりました。

その最たるものが、かならず書かされ、話をさせられる学生時代の実績です。

彼らは一生懸命作文し、各社にコピーを送り、同時にこれを面接で話すプレゼンテーションの練習をして備えます。どの企業でも判で押したように聞かれることなので、準備もしやすいわけです。

また面接の回数を重ねるほど当然プレゼンに慣れてくるわけで、どんどん上手になっていきます。
そのため「自己PRプレゼン熟練学生>不慣れな面接官」という状態になるわけです。

なぜ多くの企業がこの質問を繰り返すのかと言うと、恐らく「仕事もしたことのない学生に何を聞けば評価できるのかわからない」ということでしょう。

私は、選考での評価は「過去の言動から再現性を見て、未来の期待値をイメージする」行為だと思っています。ですから未来をイメージできない題材は面接の話題足りえない、という考え方です。

それでは、再現性が見え、期待値を導ける話題とは何でしょうか。

そのヒントは「仕事」というものの性質にあります。

当たり前のことですが、私たちの仕事とは「役割として責任のもとにおこなう、選べないもの」です。学生時代にこういう経験をしているケースは当然稀です。

仕事に近い経験とは、「理不尽な」あるいは「やらざるを得ない」「チーム内の役割として責任感でおこなう」「人との競争と協調の中で目標を達成する」などがあげられるでしょう。

こう考えてみると、学生が必死に準備する「がんばったこと」は相当ずれていることがわかります。

彼らの主張は「自らの意思でやりたいことをやっただけ」が圧倒的に多いのです。ボランティア、サークル活動のほとんどがこれに該当し、仕事への再現性はほとんど確認できません。

このような学生の主張を評価すると実態よりもはるかに高い評価となり、採用ミスになる可能性が高いのです。

ですから、私は面接ではがんばったことは聞かず、就職活動について聞くようにしています。学生の経験の中で、一番仕事に近いと思うのは、今まさにやっている就職活動だと思うからです。

2011.5.12 樋口弘和